レビー小体型認知症とは?幻視やパーキンソン症状が特徴の認知症を神経内科専門医が解説
はじめに
「家の中に知らない子どもが見える」
「寝ているときに大声を出して暴れる」
「最近歩くのが遅くなった」
このような症状がある場合、レビー小体型認知症の可能性があります。
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症のひとつです。
物忘れだけではなく、
- 幻視
- パーキンソン症状
- 睡眠中の異常行動
- 便秘や立ちくらみ
など、さまざまな症状がみられることが特徴です。
認知症全般について知りたい方は、まずこちらの記事をご覧ください。
認知症の種類についてはこちら
レビー小体型認知症とは
レビー小体型認知症は、脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積する病気です。
認知症全体の約10〜20%を占め、アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症とされています。
特徴的なのは、物忘れだけではなく、
- 幻視
- パーキンソン症状
- レム睡眠行動異常症
- 自律神経障害
がみられることです。
レビー小体型認知症の主な症状
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 幻視 | 人や動物がはっきり見える |
| 認知機能の変動 | 日によって状態が大きく変わる |
| パーキンソン症状 | 歩行障害、動作緩慢、転倒 |
| レム睡眠行動異常症 | 寝ながら大声を出したり暴れたりする |
| 自律神経障害 | 便秘、立ちくらみ、頻尿など |
① 幻視
レビー小体型認知症で最も特徴的な症状のひとつが幻視です。
よくみられるのは、
- 子どもが見える
- 知らない人が見える
- 動物が見える
- 虫が見える
といった症状です。
レビー小体型認知症の幻視は非常にリアルで、
- 服の色
- 顔つき
- 表情
まで、はっきり見えることがあります。
また、
「子どもがいるから先にお風呂に入らせてあげて」
「お客さんが来ているからお茶を出さなきゃ」
など、見えている相手に対して実際に行動することもあります。
本人にとっては現実に見えているため、
「そんな人はいないよ」
と説明しても納得できないことが少なくありません。
一方で、
「さっきまでそこにいたのに声をかけたらいなくなった」
「近づいたら消えてしまった」
と話されることもあります。
② パーキンソン症状
レビー小体型認知症は、パーキンソン病と非常に近い病気です。
そのため、
- 動作が遅くなる
- 小股でちょこちょこ歩く
- 前かがみになる
- 転びやすくなる
- 表情が乏しくなる
- 手が震える
といったパーキンソン症状がみられます。
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③ レム睡眠行動異常症
レビー小体型認知症では、認知症症状が出る何年も前からレム睡眠行動異常症がみられることがあります。
よくある症状は、
- 若い頃から寝言が多い
- 急に大声を出す
- 夢の中で叫ぶ
- 殴る
- 蹴る
- ベッドから落ちる
などです。
夢の内容は、
- 誰かに追いかけられる
- 泥棒と戦う
- 動物に襲われる
など、怖い夢であることが少なくありません。
本人は翌朝になると覚えていないことも多く、家族が先に気づくことがあります。
④ 認知機能の変動
レビー小体型認知症では、認知機能に大きな波がみられます。
例えば、
- 午前中は普通に会話できる
- 午後になるとぼんやりする
- 昨日は元気だったのに今日は反応が悪い
といった変化がみられます。
症状が進行すると、
「呼びかけても全く反応しない」
「意識障害になったのかと思った」
と家族が心配することもあります。
しかし数時間後には突然起き上がって会話を始め、
「ただ眠っていただけだった」
ということも少なくありません。
家族から
「日によって別人みたいです」
と表現されることも多い症状です。
⑤ 自律神経障害
レビー小体型認知症では、自律神経障害が認知症症状より先に出現することがあります。
代表的な症状は、
- 便秘
- 立ちくらみ
- ふらつき
- 頻尿
などです。
特に、
「若い頃から頑固な便秘だった」
という方も少なくありません。
また、不安が強くなることもあります。
レビー小体型認知症とパーキンソン病の関係
レビー小体型認知症とパーキンソン病は非常に近い病気です。
実際には最初は、
- 歩くのが遅い
- 手が震える
- 転びやすい
- 小股歩行になる
などのパーキンソン症状だけが目立ち、
パーキンソン病として診断されることもあります。
その後、
- 幻視
- 認知機能低下
- レム睡眠行動異常症
などが目立つようになり、レビー小体型認知症と診断される場合もあります。
アルツハイマー型認知症との違い
| 項目 | アルツハイマー型認知症 | レビー小体型認知症 |
|---|---|---|
| 物忘れ | 強い | 比較的軽いこともある |
| 幻視 | 少ない | 多い |
| パーキンソン症状 | 少ない | 多い |
| 睡眠中の異常行動 | 少ない | 多い |
| 認知機能の波 | 少ない | 多い |
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診断のために行う検査
レビー小体型認知症はパーキンソン病と似た検査を組み合わせて診断します。
- 頭部MRI
- 脳血流SPECT
- DATスキャン
- MIBG心筋シンチグラフィ
などを行うことがあります。
治療
レビー小体型認知症は症状に応じて治療を行います。
認知機能に対する治療
ドネペジル(アリセプト)などの抗認知症薬が使用されることがあります。
一方で薬剤に敏感な方も多く、
- 幻視が悪化する
- 眠気が強くなる
- ふらつきが増える
などの副作用が出ることがあります。
中には、
「今までは子どもが1人だけ見えていたのに、部屋の中が子どもだらけになってしまった」
と訴える方もいます。
幻視や妄想に対する治療
幻視があっても、本人が困っておらず生活に支障がなければ、必ずしも完全に消すことを目標にはしません。
実際には、
「子どもが見えるけれど怖くない」
「いつもの子たちが来ている」
というように、幻視と共存できている方もいます。
一方で、
- 強い不安
- 家族とのトラブル
- 生活への支障
がある場合は治療を検討します。
クエチアピン(セロクエル)などが使用されることがありますが、レビー小体型認知症では薬剤過敏性があり慎重な調整が必要です。
睡眠障害への治療
レム睡眠行動異常症や不眠に対しては、
- ラメルテオン(ロゼレム)
- 抑肝散
などが使用されることがあります。
家族が知っておきたいこと
レビー小体型認知症では、本人には本当に人や動物が見えています。
そのため、
「そんな人はいない!」
と強く否定するよりも、
「そう見えたんだね」
と受け止めながら対応した方がうまくいくことがあります。
また、
- 転倒予防
- 夜間の安全対策
- 薬の副作用への注意
も大切です。
まとめ
- レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次いで多い認知症
- 幻視、パーキンソン症状、レム睡眠行動異常症が特徴
- 便秘や立ちくらみが先にみられることもある
- パーキンソン病として経過をみているうちに診断される場合もある
- 薬剤に敏感なため専門医による調整が重要
認知症にはさまざまな種類があり、症状や治療法も異なります。
気になる症状がある場合は、早めに脳神経内科へ相談しましょう。
