パーキンソン病とは?初期症状・検査・治療について神経内科専門医がわかりやすく解説
はじめに
パーキンソン病というと「手のふるえ」の病気を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、
- 手が震える
- 表情が少なくなった
- 笑わなくなった
- 抑揚のない話し方になった
- 声が小さくなった
- 歩くのが遅くなった
- ちょこちょこ歩くようになった
- 前かがみの姿勢になった
- 字が小さくなった
- 転びやすくなった
といった症状で気づかれることも少なくありません。
この記事では、パーキンソン病の症状や検査、治療について神経内科専門医がわかりやすく解説します。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、脳内でドパミンという神経伝達物質が不足することで起こる病気です。
現在の医学では根本的に治す方法はまだ見つかっておらず、国の指定難病に含まれています。
一方で高齢になるほど増える病気でもあり、加齢とともに発症しやすくなります。
60歳以上では約100人に1人、70歳以上では50人に1〜2人程度が発症するとされており、決して珍しい病気ではありません。
近年は治療法が進歩しており、早期に診断し適切な治療を行うことで長期間良好な生活を送ることが可能です。
パーキンソン病の主な症状
パーキンソン病では主に以下の4つの症状がみられます。
① 振戦(ふるえ)
パーキンソン病のふるえは「安静時振戦」と呼ばれます。
何もしていない時に震えやすく、
- テレビを見ている時
- 椅子に座っている時
- 手を膝の上に置いている時
などに目立ちます。
親指と人差し指で丸薬を転がすように見えるため、
「丸薬丸め運動(pill-rolling tremor)」
と呼ばれることがあります。
比較的ゆっくりしたふるえで、1秒間に4〜6回程度規則的に震えるのが特徴です。
② 動作緩慢(動きが遅くなる)
パーキンソン病で最も重要な症状です。
単純に動作が遅くなるだけでなく、
- 動き始めるまで時間がかかる
- 動きを止めるのが苦手
- 一連の動作がぎこちなくなる
といった特徴があります。
例えば、
- 着替えに時間がかかる
- ボタンがかけにくい
- 字が小さくなる
- 話すスピードが遅くなる
- 反応が遅くなる
- 声が小さくなる
- 表情が乏しくなる
などがみられます。
歩き方にも変化が現れ、
- 歩幅が小さくなる
- 足をすって歩く
- ちょこちょこ歩く
- 歩き始めの一歩が出にくい
といった症状がみられます。
③ 筋強剛(筋肉のこわばり)
筋肉が常に力んだような状態になり、体が硬く感じられます。
患者さん自身は、
- 肩こり
- 首こり
- 腰痛
として感じることもあります。
また手先の細かい動きが苦手になり、
- ボタンをかける
- 箸を使う
- 字を書く
- 財布から小銭を出す
といった作業が難しくなります。
進行すると首が前に垂れる「首下がり」を認めることもあります。
④ 姿勢反射障害(バランスが悪くなる)
体のバランスを保つ力が低下する症状です。
- 前かがみの姿勢になる
- 体が左右どちらかに傾く
- 方向転換でふらつく
- 転びやすくなる
などがみられます。
病気が進行すると転倒による骨折の原因になることもあります。
意外な初期症状
パーキンソン病では、運動症状より前から症状が現れることがあります。
代表的なのは、
- 便秘
- 嗅覚低下
- レム睡眠行動異常症(寝言や寝ながら暴れる)
- 抑うつ症状
です。
特に便秘や嗅覚低下は、手のふるえが始まる何年も前からみられることがあります。
パーキンソン病になりやすい性格はある?
パーキンソン病の患者さんには、
- 真面目
- 責任感が強い
- 几帳面
- 慎重
- 不安を感じやすい
といった性格傾向がみられることがあると報告されています。
ただし、このような性格だからパーキンソン病になるわけではありません。
あくまで傾向として知られているものであり、性格だけで病気を判断することはできません。
検査
診断では症状や診察所見が最も重要ですが、他の病気との区別や診断の補助のために検査を行います。
脳MRI
脳梗塞や脳腫瘍、水頭症など他の病気が隠れていないか確認します。
ダットスキャン(DAT-SPECT)
脳内のドパミン神経の働きを調べる核医学検査です。
心筋MIBGシンチグラフィ
心臓の交感神経機能を評価する検査で、パーキンソン病の診断補助として用いられます。
治療
パーキンソン病の治療には、
- レボドパ製剤
- ドパミンアゴニスト
- MAO-B阻害薬
- リハビリテーション
などがあります。
患者さんの年齢や症状に応じて治療を組み合わせます。
こんな時は脳神経内科へ
- 安静時に手が震える
- 歩幅が小さくなった
- ちょこちょこ歩くようになった
- 歩き始めの一歩が出にくい
- 字が小さくなった
- 声が小さくなった
- 表情が乏しくなった
- 前かがみの姿勢になった
- 転びやすくなった
このような症状がある場合は、脳神経内科への相談をおすすめします。
まとめ
パーキンソン病は「手のふるえの病気」と思われがちですが、実際には動作が遅くなったり、歩き方が変わったり、表情が乏しくなったりとさまざまな症状が現れます。
現在のところ完治させる治療法はありませんが、適切な治療によって症状を改善し、長く自分らしい生活を続けることが可能です。
「年齢のせいかな」と思っていた症状が、実は病気のサインかもしれません。
気になる症状がある場合は、早めに脳神経内科へご相談ください。
関連記事
パーキンソン病と似た症状や、関連する症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
