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顔が動かない・口が曲がる原因は?顔面神経麻痺を神経内科専門医が解説

脳と神経の相談室

はじめに

  • 朝起きたら顔が動かない
  • 口から水がこぼれる
  • 片目が閉じにくい
  • 鏡を見ると口が曲がっている

このような症状が突然現れると、とても不安になります。

顔面神経麻痺の多くは適切な治療によって改善が期待できますが、中には脳梗塞など緊急性の高い病気が隠れていることもあります。

この記事では、顔面神経麻痺の症状や原因、治療法、受診の目安について神経内科専門医がわかりやすく解説します。


顔面神経麻痺とは

顔面神経は、

  • まぶたを閉じる
  • 口を動かす
  • 表情を作る
  • 味覚を感じる

などの働きを担う神経です。

この神経に障害が起こると、顔の筋肉がうまく動かせなくなります。

顔面神経麻痺は通常、顔の片側に起こります。


顔面神経麻痺の症状

額にしわが寄せられない

顔面神経麻痺では、おでこにしわを寄せることが難しくなります。

目が閉じにくい

片方の目が閉じにくくなり、乾燥や異物感が出ることがあります。

口から飲み物がこぼれる

口の周りの筋肉が弱くなるため、水やお茶がこぼれやすくなります。

頬を膨らませられない

口の中に空気をためることが難しくなります。

ほうれい線が薄くなる

鏡を見ると、

  • 口角が下がる
  • 片側のほうれい線が薄くなる
  • 顔の左右差が目立つ

ことで気付く方も少なくありません。

味覚障害

食べ物の味がわかりにくくなることがあります。


顔面神経麻痺セルフチェック

以下の症状がないか確認してみましょう。

  • 額にしわを寄せられない
  • 両目を強く閉じられない
  • 頬を膨らませられない
  • 口から水がこぼれる
  • 顔の左右差がある

当てはまる場合は医療機関への相談をおすすめします。


顔面神経麻痺の主な原因

ベル麻痺

顔面神経麻痺で最も多い原因です。

ベル麻痺とは、原因がはっきりしない特発性顔面神経麻痺のことをいいます。

近年では単純ヘルペスウイルス1型の再活性化が関与していると考えられています。

また、

  • 強いストレス
  • 過労
  • 睡眠不足

などをきっかけに発症することがあります。

ベル麻痺では通常、水ぶくれなどの発疹はみられません。

ハント症候群

帯状疱疹ウイルスによって起こる顔面神経麻痺です。

特徴として、

  • 強い耳の痛み
  • 耳の周囲の発疹
  • 水ぶくれ
  • めまい
  • 難聴

などを伴うことがあります。

ベル麻痺より重症化しやすく、後遺症が残ることもあります。

脳梗塞

頻度は高くありませんが、見逃してはいけない原因です。

特に、

  • 手足の麻痺
  • ろれつが回らない
  • 顔のしびれ
  • 歩きにくさ

などを伴う場合は注意が必要です。

👉 脳梗塞の前兆について詳しくはこちら
https://braincare-note.com/stroke-warning-signs/

👉 ろれつが回らない原因について詳しくはこちら
https://braincare-note.com/roretsu-mawaranai/

👉 顔のしびれについて詳しくはこちら
https://braincare-note.com/facial-numbness/

その他の原因

まれに、

  • サルコイドーシス
  • 腫瘍
  • 外傷

などが原因になることもあります。


顔面神経麻痺は両側に起こることもある?

顔面神経麻痺は通常、片側に起こります。

両側の顔面神経麻痺は非常にまれで、

  • サルコイドーシス
  • ライム病(ダニが媒介する感染症)
  • ギラン・バレー症候群

などが原因となることがあります。

特に山登りやキャンプなど自然の多い場所へ行った後に顔面神経麻痺が出現した場合は、ダニが媒介する感染症が関係していることがあります。

顔の両側が動かしにくい場合や、手足のしびれ・脱力を伴う場合は早めに受診しましょう。


脳梗塞との違い

顔面神経麻痺脳梗塞
額もしわ寄せできない額は動くことが多い
目が閉じられない閉じられることが多い
味覚障害を伴うことがある通常はない
耳の痛みを伴うことがある通常はない
手足の麻痺はない手足の麻痺を伴うことがある

顔面神経麻痺と脳梗塞は見分けが難しいことがあります。

特に突然症状が出現した場合は脳梗塞の可能性も考える必要があります。

👉 脳梗塞の前兆について詳しくはこちら
https://braincare-note.com/stroke-warning-signs/


顔面神経麻痺の検査

  • 神経学的診察
  • 血液検査
  • MRI検査

などを行います。


顔面神経麻痺の治療

ステロイド治療

顔面神経麻痺では神経の炎症を抑えるためにステロイドを使用することがあります。

発症後早い時期に治療を開始するほど回復しやすいと考えられています。

治療方法は施設によって異なり、外来で内服治療を行うことも多くあります。

一方で症状が強い場合には、入院して点滴治療を行うこともあります。

抗ウイルス薬

ベル麻痺の重症例やハント症候群では抗ウイルス薬を併用することがあります。

目の保護

目が閉じにくい場合は、

  • 点眼薬
  • 眼軟膏

などで角膜を保護することも重要です。


ステロイドの副作用は大丈夫?

ステロイドと聞くと副作用を心配される方も多いと思います。

しかし顔面神経麻痺では比較的短期間のみ使用することが多く、重い副作用はあまり心配ありません。

治療中にみられることがある症状として、

  • 眠りが浅くなる
  • 顔がほてる
  • 食欲が増える
  • 血糖値が上がる

などがありますが、多くは治療終了後に改善します。

一方で、

  • 糖尿病
  • 骨粗しょう症
  • 感染症
  • 白内障
  • 緑内障

などは長期間ステロイドを使用した場合に問題となる副作用です。

顔面神経麻痺の治療で使う期間は通常短期間であり、過度に心配する必要はありません。


顔面神経麻痺は自然に治る?

顔面神経麻痺の多くは改善が期待できます。

しかし神経の障害が強くなると、回復までに時間がかかったり、後遺症が残ったりすることがあります。

神経の病気は早期発見・早期治療がとても重要です。

そのため、

  • 口が動かしにくい
  • 目が閉じにくい
  • 顔の左右差が急に出た

などの症状があれば、「そのうち治るだろう」と様子を見るのではなく、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。


他の脳神経症状がある場合は注意

顔面神経麻痺以外にも、

  • 物が二重に見える
  • まぶたが下がる
  • ろれつが回らない

などの症状がある場合は、他の脳神経の病気が隠れている可能性があります。

👉 複視について詳しくはこちら
https://braincare-note.com/double-vision-causes/

👉 まぶたが下がる原因について詳しくはこちら
https://braincare-note.com/ptosis/


何科を受診すればよい?

顔面神経麻痺が疑われる場合は、

  • 耳鼻咽喉科
  • 脳神経内科
  • 脳神経外科

で相談できます。

特にベル麻痺やハント症候群は耳鼻咽喉科で治療されることが多い病気です。


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まとめ

  • 顔面神経麻痺は顔の片側に起こることが多い
  • 最も多い原因はベル麻痺
  • ハント症候群や脳梗塞との鑑別が重要
  • 発症後早めの治療が回復率向上につながる
  • 顔の左右差や目の閉じにくさに気付いたら早めに受診を
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神経内科専門医・総合内科専門医
はじめまして。「脳と神経の相談室」を運営している女医です。 神経内科専門医・総合内科専門医として15年以上診療に携わっています。 外来でよくいただく質問を中心に、しびれ、頭痛、めまい、認知症などについて、専門的な内容をできるだけわかりやすく解説します。 不安を少しでも減らし、受診のきっかけになるような情報発信を心がけています。
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