手足が勝手に動くのはなぜ?不随意運動・けいれんとの違いを神経内科専門医が解説

脳と神経の相談室

はじめに

「手が勝手に震える」

「足がピクッと動く」

「顔が勝手に動いてしまう」

「これっててんかんなの?」

手足や顔が自分の意思とは関係なく動いてしまう症状を経験すると、不安になりますよね。

実は、こうした症状には様々な原因があります。

大切なのは、

  • 意識があるか
  • どのような動きなのか
  • 急に始まったのか

を確認することです。

この記事では、手足が勝手に動く原因や受診の目安について、神経内科専門医がわかりやすく解説します。


まず確認したいのは「意識があるかどうか」

手足が勝手に動く症状が出たとき、まず確認したいのが意識が保たれているかどうかです。

意識がはっきりしていて会話もできる場合は、「不随意運動」と呼ばれる症状の可能性があります。

一方で、

  • 呼びかけに反応しない
  • 記憶がない
  • 意識がもうろうとしている

場合には、てんかん発作などが原因となっていることがあります。

もちろん例外もありますが、一般的には「意識があるかどうか」が重要なポイントになります。


不随意運動とは?

不随意運動とは、自分の意思とは関係なく体が動いてしまう症状の総称です。

脳や神経の異常によって起こることが多く、

  • ふるえ
  • ピクッとする動き
  • 首が曲がる
  • 体がくねくね動く

など様々なタイプがあります。

本人は「勝手に動く」と感じますが、意識は保たれていることが多いのが特徴です。


1.振戦(ふるえ)

振戦とは、規則的に震える症状です。

例えば、

  • コップを持つと手が震える
  • 字を書くときに震える
  • 何もしていない時に震える

などがあります。

原因としては、

  • 本態性振戦
  • パーキンソン病
  • 甲状腺機能亢進症
  • 薬剤
  • ストレスや疲労

などが考えられます。

【手の震えが気になる方はこちら】
https://braincare-note.com/tremor/


2.ミオクローヌス(ビクッと動く)

ミオクローヌスは、手足や体が一瞬ビクッと動く症状です。

寝る直前に体がビクッとなる経験をしたことがある方も多いでしょう。

これは「生理的ミオクローヌス」と呼ばれ、病気ではありません。

一方で、

  • 腎機能障害
  • 肝機能障害
  • てんかん
  • 脳の病気
  • 薬剤

などが原因になることもあります。

特に代謝異常や薬剤性では比較的よくみられる症状です。


3.チック

チックは、同じ動作を繰り返してしまう不随意運動です。

例えば、

  • まばたきを繰り返す
  • 首を振る
  • 肩をすくめる
  • 咳払いを繰り返す

などがあります。

小児に多い症状ですが、大人でもみられることがあります。


4.ジスキネジア(体がくねくね動く)

ジスキネジアは、自分の意思とは関係なく体がくねくね動いてしまう症状です。

特にパーキンソン病の治療で使用するドーパミン製剤によって起こることがあります。

薬が効いている時間帯に、

  • 手足が勝手に動く
  • 体がくねくね動く
  • 落ち着きなく見える

といった症状がみられます。

病気そのものというより、治療に伴って現れることが多い症状です。

つまり、ドーパミンの作用が強くなりすぎることで、体が勝手に動いてしまう状態と考えるとわかりやすいでしょう。

【パーキンソン病について詳しくはこちら】
https://braincare-note.com/parkinsons-disease/


5.ジストニア(筋肉がぎゅっと収縮する)

ジストニアは、筋肉が過剰に収縮して不自然な姿勢になる症状です。

ジスキネジアと名前が似ていますが、全く別の症状です。

例えば、

  • 首が片側に曲がる
  • まぶたが勝手に閉じる
  • 手指がねじれる
  • 足先が内側に曲がる

などがあります。

ジスキネジアが「くねくね動く症状」なら、

ジストニアは「筋肉がぎゅっと収縮してねじれる症状」と考えるとわかりやすいでしょう。


6.舞踏運動(手足が勝手に動く)

舞踏運動(ぶとううんどう)は、手足や顔が不規則に動いてしまう症状です。

本人は止めようとしても完全には止められません。

  • 指が勝手に動く
  • 顔がしかめ面になる
  • 落ち着きなく見える
  • 手足がそわそわ動く

といった症状がみられます。

脳梗塞のあとや薬剤の影響、まれな神経疾患などでみられることがあります。


薬の副作用が原因になることもある

不随意運動の原因として意外と多いのが薬剤性です。

特に、

  • 精神科の薬
  • 吐き気止め
  • 一部の神経系の薬

などで起こることがあります。

薬を始めたあとや増量後に症状が出た場合は、主治医へ相談しましょう。

急激に症状が出た場合には、薬剤の調整や症状を抑える治療によって改善することもあります。


急に症状が出た場合は要注意

突然症状が出た場合には、

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • てんかん
  • 薬剤性

などが考えられます。

特に、

  • 片側だけに症状が出る
  • 力が入らない
  • ろれつが回らない
  • 顔がゆがむ

場合は早めの受診が必要です。

【脳梗塞の前兆について詳しくはこちら】
https://braincare-note.com/stroke-warning-signs/

【ろれつが回らない原因についてはこちら】
https://braincare-note.com/roretsu-mawaranai/

【急に力が入らなくなった方はこちら】
https://braincare-note.com/weakness/


不随意運動は治る?

原因によって異なります。

薬剤が原因の場合は、原因薬剤の調整や症状を抑える治療によって改善することがあります。

一方で、パーキンソン病やジストニアなど慢性的な病気では症状が長く続くこともあります。

また、一度症状が出るとなかなか完全には消えない場合もあります。

ただし、多くの場合は食事や歩行などの日常生活に大きな支障がないことも少なくありません。


こんな時は救急受診を

  • 初めてけいれんが起きた
  • 意識を失った
  • 5分以上けいれんが続く
  • 何度も繰り返す
  • 片麻痺やろれつ障害を伴う
  • 強い頭痛や発熱を伴う

このような場合は救急受診を検討してください。


何科を受診すればいい?

手足が勝手に動く症状は、まず脳神経内科への受診がおすすめです。

診察室では症状が出ていないことも少なくありません。

可能であれば、症状が出ている時の様子をスマートフォンで動画撮影しておくと診断の助けになります。


まとめ

手足が勝手に動く症状には、

  • 振戦(ふるえ)
  • ミオクローヌス(ビクッとする)
  • チック
  • ジスキネジア
  • ジストニア
  • 舞踏運動

など様々な原因があります。

まずは意識が保たれているかどうかを確認し、症状の様子を記録しておくことが大切です。

また、突然症状が出た場合には脳梗塞やてんかんなどの病気が隠れていることもあります。

症状が続く場合や不安な場合は、脳神経内科へ相談しましょう。


関連記事

【手の震えが気になる】
https://braincare-note.com/tremor/

【パーキンソン病とは?】
https://braincare-note.com/parkinsons-disease/

【てんかんとは?】
https://braincare-note.com/epilepsy/

【ろれつが回らない】
https://braincare-note.com/roretsu-mawaranai/

【急に力が入らない】
https://braincare-note.com/weakness/

【脳梗塞の前兆】
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神経内科専門医・総合内科専門医
はじめまして。「脳と神経の相談室」を運営している女医です。 神経内科専門医・総合内科専門医として15年以上診療に携わっています。 外来でよくいただく質問を中心に、しびれ、頭痛、めまい、認知症などについて、専門的な内容をできるだけわかりやすく解説します。 不安を少しでも減らし、受診のきっかけになるような情報発信を心がけています。
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